「疲れた・・・」「しんどい・・・」
傍から見ると、怠けているように見られてしまうことも少なくないようです。
ほとんどの老若男女が疲れている昨今。
疲労感・倦怠感は誰もが日常的に経験している感覚で、発熱や痛みとともに身体の異常を知らせるアラームの一つです。
疲労は、肉体的・精神的活動の結果、とくに過度の活動の結果生じる機能低下状態です。
”疲労感”を伴って感じられることが多いですが、達成感や集中などにより疲労感がマスクされる場合はよくありますので注意が必要です。
疲労には全身的な疲労と局所的な疲労があり成因により、精神疲労と肉体疲労に分けることができますが、多くの場合複合型です。
また、時間経過により、急性疲労と慢性疲労(6か月以上にわたって続く状態)にわけることができます。
疲労のメカニズムについては研究が進んでおり、以前からの仮設のうち、乳酸疲労原因物質説が間違っているとの指摘があります。東京大学大学院総合文化研究科の八田秀雄先生は「乳酸は非常に使いやすいエネルギー源であって、老廃物ではない。乳酸はむしろ疲労を防止する」と言っています。その他、アミノ酸説、サイトカイン説、酸素ラジカル‐酸化蛋白説、修復エネルギー低下説など諸説ありますが、まとめると、神経・内分泌・免疫系相関の不調というホメオスタシス(恒常性)の低下現象が疲労といえます。もっと簡単に言うと疲労とは「エネルギーを作る能力が低下した状態」と言えます。
これまで健康に生活していた人が
・学校、職場、家庭で精神的なストレスを抱えている
・風邪などに罹患した
・紫外線に曝露した
・化学物質の刺激を受けたなどの
社会的・物理的・化学的・生物学的ストレスがきっかけとなり、ある日突然原因不明の激しい全身倦怠感に襲われ、それ以降、強い疲労感とともに微熱、頭痛、脱力感や思考力の障害、抑うつなどの精神神経症状などが長期にわたって続くため、健全な社会生活か送れなくなる疾患です。
身体的・精神的ストレス、感染症、免疫異常、内分泌異常、脳・神経機能異常が密接に関連していることが原因だと考えられています。
さらに、最近の研究で脳内の広範囲で炎症が見られることも解明されました。
扁桃体の炎症が強いと、認知機能障害
海馬の炎症が強いと、抑うつ症状
視床の炎症が強いと、頭痛や筋肉痛を
それぞれ深刻に訴えるという相関関係が判明しています。
リーキーガット (腸管壁浸漏)症候群(LGS) が関与していることがわかっています。
※LGSは腸管膜に大きな穴が開きます。
この穴から本来吸収されるべきではないサイズの異物(バクテリア、毒素、食物)が体内に侵入して様々な症状がでます。
まず、腸管に炎症が起こると適切に栄養素や食物が吸収されず、疲労や膨満がでます。
栄養素を血液中に運ぶタンパク質も損傷を受け、栄養素欠乏状態が起こります。
開いた穴から、大きい食物分子が侵入した場合、異物反応としての抗体が産生され食物アレルギーや関節炎、線維性筋肉痛のよう新たな症状がでます。
また、 保護膜(IgAが関与)が影響を受け、体内はカンジダ菌などの真菌、バクテリア、ウイルスに対する防御機能が低下し、感染症になりやすくなります。
腸の解毒作用に障害がでて、化学物質や汚染物質が体内に侵入し、「過敏症状」がでます。
更に解毒組織である肝臓にも負担がかかります。
LGSによって血中に入ってきた食物や汚染化学物質などの異物に対する抗体が作られ、抗体がそれらの異物に作用するだけでなく、人の組織にも作用します。
これが自己免疫疾患(関節リウマチ、甲状腺異常、潰瘍性大腸炎など)などの原因になっている可能性もあります。
つまり、LGSは潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患、線維筋痛症、慢性疲労、不眠症など様々な病気や症状との関連しています。
原因の一つとして、パン食など小麦の摂り過ぎが上げれられています。
小麦の主成分はブドウ糖ですが、グリアジンとグルテニンという2つのたんぱく質も含みます。
グリアジンとグルテニンは水を含むと、ネバネバとしたグルテンとなります。
この「グルテン」が、腸の粘膜を傷つけ、リーキーガット症候群を生みだすといわれています。
昨今はうつ(気分障害)、不安障害などのストレス性関連疾患の相談が増えています。
ストレス性疾患の方は疲労感や倦怠感を伴っています。
体調不良のスタートが疲労で、うつ、不眠などの症状に発展し、最終的にアルツハイマーなどの認知症になるというデータもあるようです。
気分障害、甲状腺機能低下症、肝障害、尿毒症(不十分な透析)、貧血、睡眠障害などが背景にあり疲れている方も多いです。
ガンや自己免疫疾患、透析など病気の治療ストレスで疲れている方も多いです。
子供の慢性疲労が不登校につながっていることもあります。
過労や、ストレス過多により、過剰な活性酸素が身体の細胞を傷つけ細胞の働きが低下し、エネルギーが作られにくくなった結果、疲労を感じることになります。
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